寄せる思い

審査委員会・実行委員会の方々に、岩手県の住環境・自然環境・エコハウスなどについて、「寄せる思い」を語っていただくコーナーです。第1回目はエココン事務局長の長土居さんです。

Q. エココンが始まったきっかけ?

岩手県が県内の高性能住宅を表彰してきた「いわて省エネ・新エネ住宅大賞」が打ち止めになってしまうと聞いて、せっかく続けてきたことを継承できないかと、佐々木教授と思っていました。それで各方面にご協力していただきならが、今年度からは産官学の協賛という形で開催することができました。名称も「エコ・ハウスコンテスト いわて」と改称し、さらに広い視点で岩手の住宅を考えていきたいと思っております。

Q. 専門は?

私は30年以上暖房機器の会社におりまして、快適な「暖」や「熱」に対する思いがずっとありました。しかし、せっかく快適で安全な暖房機器を導入していただいても、その使い方がストーブのようにこまめに点けたり消したりしたり、ずっとコンセントが抜かれていたりして、本来の使い方ではない使い方をなさる方が多くおりました。

Q. なぜなのでしょう?

岩手の冬の寒さと住宅性能のバランスがとれていないことに気付きました。そもそも断熱性能が高く、燃費が良ければ暖房を止める人はいないと思います。大きな暖房機も必要なく、少ないエネルギーで維持できる家が必要だと思い、退職後は「Dot Project」等にて、 熱損失係数(Q値)1.0以下の住宅を目指す啓発活動などを行っております。

Q. 熱損失係数とは?

熱損失係数、いわゆるQ値というのは、性能評価の一つの基準なのですが、その値が1.0以下の住宅というのは、かなり高性能な住宅です。断熱性能が高いので、家の中に少しの熱源があれば、家全体が暖かく保たれます。たとえば家の中で生活している人が発している人体の熱や、台所で調理する時に発生する熱、お風呂を沸かしたりするときの給湯器の熱。それらの熱源を逃すことなく、家の中にうまく広げてあげれば、ストーブなどが必要ないくらい暖かい家、それがQ値1.0以下の住宅です。「エコ・ハウスコンテスト いわて」ではQ値1.6以下の住宅を目標にしています。

Q. 実際は?

一般の住宅ではQ値2.0など、まだまだ性能をあまり考慮していない家が多いのが事実です。例えばスイスにはミネルギー基準というのがあります。 ミネルギースタンダードというのは、給湯と暖房を石油換算で1年間4リッター/1平米にしなさい、というものです。すると33坪(100平米)で1年間で400リッターの石油(換算)で生活でき、暖房と給湯で4万円ほどの光熱費になります。給湯も入れて1年間でですよ。スイスの最近の新築住宅の15%くらいは、そのレベルの基準で建てられています。エネルギーの海外依存が高い日本は、よく考えていかなければならない問題だと思います。

Q. 熱源が少なくていいということは?

住宅性能が高いですから、そもそも「暖」のために使うエネルギー量が少なくて済みます。家の中がいつでも暖かく、空気も綺麗です。もちろん夏は涼しいです。年間の光熱費もかなり節約できます。快適な生活をしながら、結果として「エコ」な生活なのです。東京より西は暖かいですから、住宅のエネルギー総消費量のうち、給湯に対する比率が高いです。逆に岩手のような寒い地方の住宅は、暖房に使うエネルギーが多いですから、全エネルギーの暖房負荷が半分ほどになります。その暖房負荷を少しでも減らせれば、とても大きな省エネ成果を得ることができるのです。

エコのために

本来のecoはギリシャ語のekosから派生した言葉で、「家」という意味を持つにすぎません。エコロジー(eco-logy)とは本来、居住空間、生活空間、あるいは生活環境を表し、経済(eco-nomy)とは家を維持、手入れするための行為、居住するため、生活するための行為を表しています。現在は「エコ」という言葉だけ切り離されて一人歩きしている感じがありますが、本来はこの二つの概念を切り離したり、上下においてみたり、無理矢理調和させる事ができないものです。

Q. 最後に

Dot Projectはどちらかといえば頂点を目指すような方向ですが、エココンはできるだけ裾野を広げるような、全体の平均をレベルアップするような活動を進めていきたいと思っています。