佐々木隆
第2回:佐々木隆(実行委員長)

寄せる思い

審査委員会・実行委員会の方々に、岩手県の住環境・自然環境・エコハウスなどについて、「寄せる思い」を語っていただくコーナーです。第2回目はエココン審査委員長の佐々木さんです。

Q. 専門は?

学問の分野でいうと、「環境設計」といいます。昔は「計画原論」と言いました。良い環境をいかに設計するかという分野です。また、岩手県立大学盛岡短期大学部生活科学科の私たちの講座を修めると、2級建築士の受験資格を得られるようなカリキュラムになっています。岩手県には建築の専門の大学がありません。岩手大学には建設環境工学科がありますが、「建築」が専門ではありません。

Q. ご出身は?

札幌出身です。札幌はもちろん寒いのですが、きちんと寒さ対策がなされた住宅なので、家の中は快適です。北海道の人は冬は半袖で過ごしているというのを聞いたことがあると思いますが、まさにそのような感じです。と言っても、暖房をバンバン焚いているのではなく、それだけ北海道の住宅の性能が高いということです。岩手に来る前は千葉県にも住んでいたのですが、冬の間、千葉の人は毎日お風呂に入ってすぐに寝るのです。千葉の住宅は寒さ対策などがなされていないので、冬は部屋の中が寒くなります。お風呂に入って体を温めてからすぐに寝る人が多いといいます。

Q. 快適な家とは?

「暖かい家」ではなく「寒くない家」が望ましいです。「暖かい家」というのは、何らかの暖房機器で暖めているので、人間も、その「熱」を感じています。熱を感じるというのは、寒さと同じように一つのストレスなんですね。反対に「寒くない家」というのは、「寒さのみならず暖かさ」も「感じない」状態です。室温を気にしなくてもいい、家の中に寒い場所が無いという事です。寒さや暑さというのはストレスの一つですから、それらのストレスを取り除いた住宅は、毎日の生活をとても快適に過ごすことができます。そのためには、「寒さを取り除く」ということが大切です。

はっきり言いますと、水道管が凍る家は「欠陥住宅」です。柱が歪んでいたり床が傾いていたりするのと同じように、岩手に建てた住宅でありながら、水道管が凍るというのは、欠陥住宅だと考えています。住宅は、その土地や地域の環境も考慮して設計・施工されるべきであって、冬期に氷点下になる岩手において、水道管が凍るというのは基礎の断熱が足りないということです。ずっと昔に建てられた家ならまだしも、最近の技術で建てられた家で水道管が凍るのは欠陥です。

また家の中に温度差があると、結露などが発生し、カビの発生や建材の腐食、暖房を焚くことによる空気の汚れなど、快適な生活とはほど遠いものとなり、家の欠陥のみならず、体の調子や健康にも影響が出てきます。

Q. 温度のバリアフリー?

一般的にはバリアフリーというと、段差が無いとか階段に手すりがあるとかを考えがちですが、「家の中に寒いところがない」というのは、温度のバリアフリーです。例えば、家が寒くないと服装も薄着になりますが、老後、年をとって厚着をしていると、転んだりする危険も高まります。寒い生活では塩分を多く取るようになるかもしれません。寒い部屋からいきなり熱いお風呂に入る生活も良くないかもしれません。そのような意味も含め、寒くない家というのは、バリアフリーの家と言えると思います。

Q. 岩手の人に伝えたいこと

私は札幌に帰ると裸足で生活しています。逆に盛岡では厚い靴下を履いて生活しています。北海道も岩手も、同じように寒い地域ですが、寒さに対する建築基準が違うため、札幌の方が冬でも快適に過ごせています。トイレも玄関も同じ温度です。北海道だけでなく、北欧なども寒さに対する基準レベルは高く、見習う点が多くあります。岩手の人は、快適な住宅を体験していないと思います。もっと快適な住宅を知って体験してほしいと思っています。

Q. エココンについて

以上の意味を含め、より快適な住宅が岩手に増えることを願って、岩手なりの住宅基準を作っていくことが大切だと思っています。昨今の原油価格の高騰なども、いかにエコな家で快適に生活するのかを考える、良いきっかけになっていただければと思います。エコハウスと言うと、日本人はすぐ光熱費が安くなったなどと考えがちですが、エコな生活の中での「快適さ」にも思いを寄せていただければと思います。

Q. 最後に

私が今まで12軒ほど研究設計をしてきた中で、私の頭の中には、快適な住宅を設計するノウハウは出来ていますので、エココンなどの活動を通して、その形を還元・実現していければと思っています。